ボルドーと聞いただけでおいしいワインがイメージできます。
ボルドーワインは、どのような歴史や風土を背景に生まれるのでしょうか。
銘醸地ボルドーの特徴を解説します。
・ボルドーワインの歴史
ボルドーは、紀元前3世紀に建設された都市「ブルディガラ」が起源
。 ローマ人によってワイン造りが開始されますが、当時のボルドーは沼地が多く、土壌が砂利質で、ブドウ栽培には不向きとされていました。
ボルドーの気候に合ったブドウの品種として導入されたのが、適応力の高いカベルネ種。当時はビチュリカと呼ばれていました。
これが、ボルドーとカベルネ・ソーヴィニヨンの2000年におよぶ関係の始まりです。
現在も、ボルドーの銘酒の多くは、カベルネ・ソーヴィニヨンを原料に造られています。
商業で栄えたボルドーは、やがてワインの大生産地として名をはせるようになります。
13世紀には、イギリスやスペインにワインを輸出し、ボルドーの商人たちはイギリス王から市民権を与えられるほど優遇されました。
1855年に開催されたパリ万国博覧会を機に、ボルドーは独自の格付けを開始。ボルドーが誇る五大シャトーの概念(1855年当時は四大シャトー)は、このときに生まれたものです。
現在のボルドーは、ブルゴーニュと並ぶ二大ワイン産地として不動の地位を獲得しています。
・3つの川の流域に広がる「右岸」と「左岸」
フランスの南西部に位置するボルドー。ジロンド県とアキテーヌ地方の主都です。
ボルドーの特徴は、ドルドーニュ川、ガロンヌ川、ジロンド川という、3つの川の流域に広がっていること。温暖な海洋性気候によって、良質なブドウが栽培されています。
ボルドーワインについて知ろうとすると、「右岸」と「左岸」という言葉をよく耳にします。 右岸と左岸には、このような特徴があります。
・右岸
ドルドーニュ川の右岸地域、ジロンド川の上流を指します。
サン・テミリオン地区、ポムロール地区が有名で、メルローとカベルネ・フランが主体。水持ちのよい粘土質の土壌が特徴で、上品さと力強さを併せ持つ赤ワインが生産されます。
小規模なシャトーが多数。
・左岸
ガロンヌ川とジロンド川の左岸地域、グラーヴ地区とメドック地区を指します。
カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、繊細かつエレガントな赤ワインが生産されています。水はけがよい砂利質が土壌の特徴。
大規模かつ高名な、個性際立つシャトーが多いことで知られています。
・アッサンブラージュとボルドーワイン
ボルドーワインの最大の特徴の一つが、「アッサンブラージュ」という製法。
アッサンブラージュは、ブドウの複数品種をブレンドさせるという意味です。異なるブドウ品種を混ぜ、さまざまなアロマを引き出すことを目的に行われます。
ボルドーを代表するぶどうにはそれぞれ個性があり、ブレンドすることで相互作用を生み出します。ボルドーの複雑で奥の深いワインは、アッサンブラージュによって可能になりました。
ブドウは品種ごとに収穫時期が違うため、天候によるリスクを回避できるというメリットもあります。
アッサンブラージュによって、よりバランスの取れたボルドーワインが生まれるのです。
・ボルドーの「シャトー」、ブルゴーニュの「ドメーヌ」、その違いは?
ボルドーと比較されることが多いブルゴーニュ。2つの銘醸地には、多くの違いがあります。
まずは製法について。
ボルドーが複数種をブレンドするアッサンブラージュを用いるのに対し、ブルゴーニュは赤ならばピノ・ノワール、白ならばシャルドネ、といった具合に、単一品種でワインを造ります。
ワインの造り手の呼び名も、ボルドーとブルゴーニュでは異なります。
ブドウ栽培からワイン製造を自家で行う造り手を、ブルゴーニュでは「ドメーヌ」と呼びます。
一方のボルドーは「シャトー」。「シャトー・マルゴー」はその代表格です。
「ドメーヌ」も「シャトー」も実質的には同義語ですが、「城」の意味を持つ「シャトー」のほうが少し規模が大きいイメージがあります。
・ボルドーの「グラン・クリュ」
フランスにおける最高品質のワインを表す言葉「グラン・クリュ」。
グラン・クリュの扱いも、ボルドーとブルゴーニュでは違います。
ブルゴーニュは、細かく分けられた畑を単位にしてグラン・クリュが定められています。
畑単位であることから、フランスワインとしての品質を保証する「AOC(原産地統制呼称)」が100個ほどあります。
一方ボルドーは、複数の畑で収穫されたブドウをブレンドするという製法から、グラン・クリュの単位もシャトーごとになっています。
こうした事情から「AOC」の数も、ボルドーでは50個にとどまっています。