世界中のワイン愛好家から評価される、グラン・クリュのワイン。それぞれの地方のグラン・クリュの特徴を説明します。
・シャンパーニュ地方のグラン・クリュ
シャンパンの生産で有名なシャンパーニュ地方。フランス北東部にある地域です。
シャンパーニュのグラン・クリュは、村の単位で定められています。シャンパーニュにある319ある村の中で、グラン・クリュと認められているのは17。ちなみに、その下の「プルミエ・クリュ」は42です。それ以外はすべて「格付けなし」の扱いになっています。
17あるシャンパーニュのグラン・クリュは、「主要3地区」と呼ばれる地域に集中しています。
(1)ランス中心の北部にあるモンターニュ・ド・ランス地区(9のグラン・クリュ)
ピノ・ノワール種の栽培で有名です。峡谷が点在する南と南東向きの斜面が特徴で、石灰質の土壌。力強さとまるみを持ったワインが有名です。
(2)マルヌ川沿いに広がるヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区(6のグラン・クリュ)
ムニエという黒いブドウが有名です。蛇行するマルヌ川沿いの斜面にあり、コクのあるワインが生まれます。
(3)「白い丘」という意味のコート・デ・ラ・ブラン地区(2のグラン・クリュ)
シャルドネの栽培で有名です。白亜質の斜面が続く地域で、ミネラル感やフローラル感が特徴のワインが生まれます。
グラン・クリュで生産されたブドウであれば、当事者たちの間でブレンドすることも可能。17の村の中でも、アンボネ、アイ、アヴィーズ、ル・メニル・シュル・オジェが有名です。
・ブルゴーニュ地方のグラン・クリュ
フランス中東部に位置するブルゴーニュ。かの有名なロマネ・コンティを生み出す地域です。ブルゴーニュのグラン・クリュの特徴は、細分化された畑が単位となっているところ。 「特級の畑(グラン・クリュ)」「1級の畑(プルミエ・クリュ)」「よい畑」「普通の畑」の4つに分けられています。 33面ある畑の中でもっとも小さいのは「ラ・ロマネ」と呼ばれる0.84ヘクタールの畑。ブルゴーニュは、ブレンドはせず、一つの畑のブドウ100%のワインを作るため、ラ・ロマネの畑からは年間4,000本程度のワインしか生産できません。 こうした事情から、ブルゴーニュのグラン・クリュのワインは、価格が高騰するわけです。
33のグラン・クリュは、コート・ド・ニュイ地区に24、コート・ド・ボーヌ地区に8個、シャブリ地区に1個。グラン・クリュから生産されるワインの量は、ブルゴーニュ全体の1%です。希少性の高さも理解できます。
(1)ロマネ・コンティで有名なコート・ド・ニュイ地区
ディジョンから南へ20kmほどのところにあり、南東向きの斜面が特徴。ジュラ紀の地層で、ピノ・ノワールやシャルドネが栽培されます。長期熟成に耐える優雅な赤ワインの生産で有名です。
(2)白ワインで有名なコート・ド・ボーヌ地区
マランジュからコルトンまで南北に20kmほど伸びる丘が特徴。雹や霜などの害を受けやすく、生産量が激減する年もあります。果実味、酸、アルコール度のバランスのよい、コクのあるワインが生産されます。
(3)ブルゴーニュ地方の最北部にあるシャブリ地区
スラン川中域のなだらかな丘陵地帯にあるシャブリ地区。7つの畑を総称して「シャブリ・グラン・クリュ」と呼ばれています。冷涼な気候と石灰質の土壌から、ミネラル感と酸に恵まれた辛口の白ワインが生まれます。
・ボルドー地方のグラン・クリュ
ブルゴーニュと並んで「二大ワイン産地」とされているボルドー地方。A.O.C.の栽培面積がもっとも大きいのが、ボルドー地方です。 大西洋に面し、ジロンド川、ドルドーニュ川、ガロンヌ川沿いにブドウ畑が広がるのが特徴。長期熟成に耐える、力強いワインが生産されています。
ボルドーのワインは、ワイナリーであるシャトーが複数の畑を所有し、それぞれの畑で収穫したブドウをブレンドして作ります(アッサンブラージュと呼ばれています)。畑があちこちに点在しているため、畑ごとや村ごとの格付けができなかったわけです。
そこでボルドーでは、ワインの評価基準を、ブドウ畑や村ではなく、シャトーに定めました。ボルドーにある61のシャトーを5つのランクに分け、1級(プルミエ・グラン・クリュ)に認定されたのが、いわゆる「五大シャトー」です。
「シャトー・ラフィット・ロートシルト」「シャトー・ラトゥール」「シャトー・ムートン・ロートシルト」の3つは、ポイヤック地区にあります。「シャトー・マルゴー」はマルゴー村に、「シャトー・オー・ブリオン」は、グラーヴ地区のペサック・レオニャンにあります。
それぞれの地域の特徴をまとめます。
(1)ポイヤック地区
メドック地区のサン・テステフとサン・ジュリアンの間に位置する小さな町。砂礫質の土壌と、海と川の双方から影響を受ける環境にあります。カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロの栽培に適しており、洗練された格調高いワインを生み出します。
(2)マルゴー村
メドック地区の南端に位置し、砂礫と粘土石灰質の土壌が特徴です。カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロが主要栽培品種。シャトー・マルゴーに代表される、エレガントで繊細なワインが生まれます。
(3)ペサック・レオニャン
クラーヴ地区の北部に位置しています。ガロンヌ川左岸に広がるクラ―ヴ地区は、ピレネー山脈の岩石が堆積した砂利が特徴。中でもペサック・レオニャンはエリート的なバランスのよいワインが生まれることで知られています。
・アルザス地方のグラン・クリュ
ドイツとスイスの国教と接しているアルザス地方は、ライン川左岸に位置しています。ドイツの影響が色濃く残るアルザス地方。ワイン生産地は「リュー・ディ(小区画)」と呼ばれる単位に分けられ、「アルザス・グラン・クリュ」を名乗れるリュー・ディは51。アルザス・ワイン全生産量の4%に当たります。
アルザス・グラン・クリュで使用が許可されている品種は4つ。リースリング、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリのみです。リュー・ディの名前と、使用されたブドウ品種がラベルに明記されているのが、アルザス・ワインの特色です。
51におよぶグラン・クリュの特徴をすべて挙げるわけにはいかないため、アルザス地方のワインの特徴を記しておきます。
アルザス・ワインは、ヴォージュ山脈に守られた標高150~400mの丘陵地帯のブドウが使用されます。花崗岩、片麻岩、石灰質、シストなど土壌は多様で、ミネラルが豊かです。降水量が少なく日当たりがよいため、アロマ豊かな白ワインで有名。年間のワイン生産量のうち、白ワインが90%を占めています。